1. 二人の出会い
広報委員(以下「広報」とします。)
本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。 本日は、お二人の出会いから、OCS設立、今後のOCS活動等について、インタビューさせていただきたいともいます。
上赤代表理事(以下「上赤」とします。)
妹尾代表理事(以下「妹尾」とします。)
よろしくお願いします。
広報
早速ですが、インタビューに移らせていただきます。現在のお二人のお仕事はどのようなものでしょうか?
上赤
今※1は、司法修習生ですが、司法修習生になる以前は、司法書士・行政書士として活動していました。司法書士ですので、当然、登記業務が多いのですが、業務の中では、比較的会社の仕事に多く携わらせていただいていたように思います。
妹尾
私は、弁護士をしています。弁護士ですから、普段の仕事は訴訟・調停といった訴訟業務がメインです。また、基本的に個人の方からの依頼が多いのですが、比較的、企業の方からの依頼(株主総会対策、M&A支援、企業再生支援)が多いように思います。手帳を見てみますと、今日なんかも2件企業からの相談が入っているといった具合です。
広報
会社関係の仕事が多いという両先生ですが、出会いのきっかけは何なのでしょうか?
上赤
妹尾先生との出会いは、妹尾先生主催の勉強会に私が参加させていただいたことですね。そういえば、まさにここ※2が勉強会の会場でしたね!笑
その勉強会は、確か「事業承継研究会」といって、税理士の清水博文先生、司法書士の山本直樹先生、会計士の小橋仙敬先生なども参加されていたように思います。この勉強会では、参加者が活発に議論をしていて、「岡山にもこんな事業承継にアツい先生がいるんだ」と感激したことを覚えています。その勉強会の後の飲み会の中で、当時私が参加していた「企業支援コンペ」の話になり、勉強会に参加していた先生方がコンペに参加するというような話になりました。
妹尾
そういえば、そんな出会いだったですよね。
上赤
そのような話の流れで、妹尾先生にコンペに参加いただくことになり、このとき、妹尾先生は、異士業でチームを組んでコンペに出場しました。そこで、見事、妹尾先生のチームが優勝したんです。これをみて、「異士業がチームを組めば、バランスのとれた提案ができ、実際の実務でもいい企業支援ができるのでは?」と私の中で、異士業での団体を設立したいという思いが一気に高まりました。
妹尾
上赤先生は、それまでも苧阪先生、河近先生、荒川先生達と株式会社OCS※3を立ち上げるなど、中小企業を支援に取り組んできていて、私なんかは、あのコンペの時が始まりでした。他のフィールドは見てなかった(正直に言うと、あえて見ようとしなかったのかもしれない)から、コンペでこういう世界(異士業での連携する世界)もあるんだと思いました。そこで、異士業で協力することが必要だと思ったんです。
- ※1 平成29年5月1日時点を指します。
- ※2 岡山磨屋町ビル8階(現OCSの事務局が入っている場所です。)
- ※3 現在のOCSの前身となる団体です。
2. OCS設立へ
広報
そのような出会いを経て、OCSを設立するに至るのですが、お二人とも本業で忙しい中、なぜOCSを設立しようと思ったのでしょうか?
妹尾
それまでも、企業支援は弁護士が各士業を束ねるような役割を果たすべきだと思っていたのですが、そのようなことが弁護士(私を含め)は、できていませんでした。勉強会、コンペを通して、弁護士として、「各士業を束ね、企業支援をするような場を提供しなければならない」というような、カッコよくいうと使命感みたいなものが芽生えました。ただ、当時の私も30代半ばを超えていましたので、自分が突っ走っていくような団体というよりは、みんなが成長できる団体が出来ればと思いました。
また、司法制度改革の影響から、弁護士数が大幅に増えている中で、大きな案件は都会のマンパワーのある事務所が取っていっているという現状に悔しさを覚えていました。他方で、そのような事務所が提案する報酬が取れない案件については、野ざらしになっていました。このような野ざらしになっている企業を助けたい、また地方での都会に負けないサービスを提供したいという思いからOCSを設立したいという思いが強くなりました。
上赤
早くから、OCSのような企業支援をする団体を作りたいとは思っていました。そのため、現OCSの正会員でもある河近先生、苧阪先生、荒川先生(以下「初期メンバー」といいます。)と一緒に株式会社OCSを立ち上げたのですが、これをいいねと言ってくれる人はいたが、なかなか団体に参加してくださる人はいませんでした。そのうちに初期メンバーの中からも、モチベーションが下がるメンバーが出てきたりして、しんどい思いをした時期もありました…。
そんな中で、仲間集めをもうひと踏ん張りしようというのが、妹尾先生達が参加されたコンペでした。コンペが成功し、妹尾先生や今、OCSに参加してくださっているような先生方に出会えたのは、今思っても奇跡だと思います。
コンペを通して、妹尾先生や今の正会員になってくださっている先生方に出会い、OCSを設立するという段になりました。
広報
そのような経緯で設立されたOCSですが、企業支援団体として他団体との違いといわれたらどのような点がありますか?
上赤
岡山で言えば、岡山県経営コンサルタント事業協同組合(通称:OMBC)さん、株式会社アルマ経営研究所さん(いずれも中小企業診断士の先生方の団体)や弁護士の先生が中心となっている団体もあります。これらの団体との違いで言えば、OCSは、複数の士業が所属しているという点が言えると思います。また、「コンペ」は他の団体にはない独特のものだと思います。「コンペ」という共通体験、共通認識を持ったメンバーが所属しており、単に知識・技術だけでなく、「企業支援をしたい!」というアツい思いを持った専門家が所属しているというのが一番の特徴でしょうか。
妹尾
そうですよね。上赤先生が先ほど言われたコンペなんかもあるから、他団体と比して、組織としての強い結束力があります。また、現に「OCSに就職したい」という会員がいたりするなど、単なる仕事を紹介しあうような団体ではなく、実態を伴った団体であるという点も特徴として挙げられます。こんなに、頻繁に研修、コンペ、実務をやるような団体は他にはあまりないですし、非常にユニークな団体だと思います。
3. 設立から現在まで
広報
ありがとうございます。上赤先生の設立の苦労談なんかを聞くと、本当に大変だったんだなというのがよくわかります。さて、そのような経緯を経て、OCSが設立されるのですが、設立からこれまでの間、OCSとしてどのような案件をこなされることが多いのですか?
上赤
設立当初は、(受託していないものも含めると)企業再生の案件が多かったですね。今は、事業承継関係の案件が多いです。
妹尾
そうですね。今は、そんな感じですね。
広報
そのように案件の種類が移行してきたのは、何か理由があるのでしょうか?
上赤
事業承継というのが、世間で報道される機会が多くなったというのがありますね。以前より、事業承継というワードを聞く機会が多くなりました。
妹尾
そのほかにも、再生支援というのは、中々OCSで取り組みにくいというのもありますね。再生支援をする場合には、スピーディーに仕事をこなさないといけない(特に、会計士の先生方)ので、かなり負担になります。そのような負担を異士業で連携しながらやっていくのは難しかったというのが、実態でしょうか。最初の頃は、OCSで再生のスキームを提案したけれど、大手に案件を持っていかれたということもありますし。この点は、OCSの弱みといえるかもしれません。
上赤
そうですね。その点は、今後、克服していかないといけませんね。
広報
今まで、携わってきた案件の中で、印象に残っている案件はありますか?
妹尾
実際にやった案件ではなく、むしろ、OCS設立当初の受託にならなかった案件の苦い思い出の方が印象に残っていますね。当時は、かなり練ったスキームを提案したのに、もう一歩のところで大手に取っていかれたりしたのがとても悔しかったです。
上赤
ありましたね。私も、妹尾先生と一緒で当初の苦い思い出が印象に残っています。確か、事業承継案件だったかと思うのですが、私がプレゼンを失敗して、徹夜して提案資料を作ったのが、受託になりませんでした。私のプレゼンの仕方を考えるきっかけになりました。こう思うと、コンペだけではなく、実務のプレゼンスキルを身に着けるような研修も必要なのかなとも思います。
広報
OCSとして仕事をする際に、どのようなメンバーと一緒に仕事をすることが多いのですか?
上赤
やはり、税理士の先生方ですね。再生案件に関与するとすれば、会計士の先生を増やしていきたいとも思います。個人的には、OCSに税理士のプロパー人材を入れたいなとも考えています。
広報
実際に仕事を一緒にしてみて、他の士業の先生方に感じることはありますか?
上赤
弁護士の先生方は、大局的な視点というか、常に訴訟を見据えた上で、物事を見ていると思います。他方、司法書士・行政書士の先生方は、やはり手続面、細かい点を気にしているように思います。かくいう私ももともとは司法書士ですから、細かい視点で物事を見ていたように思います。そのような思いもあり、柔軟な思考や裁判の感覚がほしくて、弁護士を目指したという経緯があります。
また、税理士の先生方は数字を見ていますね。
妹尾
税理士の先生方は、法務面の人とは言語が違うような感覚は若干ありますね。ただ、OCSのメンバーの税理士の先生方は、法務面の言語も通じる、バイリンガルの方が多いような気がしますね。
広報
ありがとうございます。少し話が変わりますが、OCSでは、実際の案件以外にコンペ事業、研究開発事業をしています。これらの事業はどのようなものなのでしょうか?
上赤
「コンペ事業」は、架空の中小企業を設定し、その中小企業について、参加者自らが課題を見つけ、課題の解決手段を、架空の依頼者にプレゼンするというものです。このコンペの楽しみ方は実は、2種類ありまして、1同業同士での参加であれば、自分のスキル向上の機会となります。また、2他士業連合で参加する場合には、各士業の考え方を学べる機会になるものです。OCSでは、このコンペを正会員への加入要件としています。これは、コンペを通じてでしかOCSに加入できないとすることで、OCSの団結力を維持するという狙いもあります。
妹尾
コンペ事業は上赤先生が説明されたとおりのものなのですが、今後、OCSが継続していくなかで、コンペ事業だけは何とか続けたいなという思いがあります。やはり、OCS設立のきっかけとなったものですから、いつまでも続けていきたいですね。
上赤
そうですね。コンペは負担も大きいし、何回かは、取り止めようかという話にもなりましたが、やはり続けていきたいですね。
妹尾
「研究開発事業」は、OCSメンバーが集まって、ある分野の研究を進めるというものなのですが、現時点までで、「労務人事DD研究会」が終了する予定です。進行中のものとしては、「信託研究会」、「医療法人M&A」、「創業手帳」、「健康診断ツール」なんかがあります。研究開発事業は、OCSのシンクタンク機能を果たすものなのですが、今後、この研究の成果が花開き、OCSという団体をアピールできるようにしていきたいものです。
4. 今後への思い
広報
これまでのOCSの歩みを伺ってきましたが、これからのOCSをどのような団体にしてきたいですか?
上赤
企業支援をしたいと思う人たちの上部団体のような位置づけにしたいと思います。また、実務をあまりしないような人でも関われるような団体にしたいとも思っています。そういう意味では、無意味にメンバーを増やそうとは考えていません。企業支援をしたいという思いを持った人に加入してほしいし、そのような人ならいつでも受け入れるような団体でありたいと思っています。ただ、「世代」というのは意識しています。私も、30代半ばに差し掛かり、「OCSの事業承継」も重要な課題だと思っています。
妹尾
メンバーの点は、私も同感です。ただ、現状のOCSは、ある意味節目に来ていると思います。設立当初は、皆さんアツい状態でしたが、今、熱意が若干冷めてきているようにも感じます。今が踏ん張りどころかなとも感じています。
広報
ありがとうございました。お二人の出会いから、OCSの今後まで色々のことが聞けて本当にいい機会になりました!お二人の先生には、お忙しいところ、お時間を作っていただき、感謝しております。 今後とも、よろしくお願いします。
上赤・妹尾
こちらこそ、ありがとうございます。いままでのことを考える機会というのが、あまりなかったので、こちらこそいい機会になりました。今後もよろしくお願いします。